今年1月にタリバン復権を予言していたHIROKI「ISがタリバンから政権奪取で9.11のような悲劇が起きる」【元大学教員の米大統領選予想的中者がアフガン撤退とアイシス・ケイを解説】

↑HIROKI(STADYPLUS代表)

8月31日という撤退リミットまで数日と迫ったアフガン。報道されていますように、今月27日にカブールでISIS-K(イスラム国ホラサン)による自爆テロが発生。バイデン大統領が軍の完全撤退を決めてからアフガニスタンでは混乱が続いています。

本誌代表HIROKIは、昨年の米大統領選ではジョー・バイデンの当選予想を的中させた実績がある、米国滞在歴のある若手の元大学教員です。

今年1月のインタビュー:【新年短観】日本のメディアが報道しないバイデンの本性とは。バイデン当選予想を的中させた米滞在歴の院試合格者が解説では、同時期に日本を含めバイデン大統領を好意的に報道したメディアが多いなか唯一「バイデン大統領は高齢で判断力が鈍く、トランプ前大統領が退任したことで敵対国の動きが活発になる」と批判しておりました。

その指摘は現実のものになり、アフガニスタンでは9.11の悲劇を引き起こしたタリバン政権が復活してしまいました。そして8月27日にはカブール空港で約100人、米兵13人が犠牲となる悲惨な自爆テロが起きてしまいました。

予言が当たってしまったHIROKIはこの状況をどう考えているのでしょうか。米軍のアフガン撤退とタリバン復権についてリモートインタビューで解説していただきました。

同じ撤退でも意味が全く違う。バイデンとトランプのアフガン撤退の大きな違い

武井:HIROKIさんは1月に「トランプ前大統領が敵対国の抑止力になっていた」と仰っておりました。バイデン大統領になってその抑止力が薄まっていくような気がします。

HIROKI:1月のインタビューで俺はトランプは敵対国を繋いでいる「くびき」と表現したんだけど、「くびき」っていうのは牛を繋ぐ輪っかなんだよね。あのインタビューの後、僕の映画記事を読んでくれている年配の方に「どうしてトランプを「牛の飼育者」ではなく「くびき」と表現したのか」と尋ねられて、その理由をここで説明したいと思います。トランプは大衆を惹きつける発言力はあるけれど中身は無い。でも、敵対国からするとトランプの発言を「あいつは本当にやるかもしれない」と真に受ける。だからそれまでミサイルを日本に撃ちまくっていた北朝鮮の金正恩は「北朝鮮が火の海になるぞ」と脅しをかけたトランプと慌てて会談した。実際金正恩は会談でトランプにすごい緊張していたでしょ。要するにトランプは北朝鮮やアフガンやイランなどの敵対国を「くびき」に繋いで活発化しないように牽制できる力はあるんだけど、敵対国の内政を実際に指導できる訳ではない。だから、「牛の飼育者」ではなく「くびき」と表現したのはそういう理由があった。

武井:ということは(トランプ前大統領は)アフガン問題にも介入するつもりは無かったのですか?

HIROKI:いや。内政自体は不干渉だけど、米軍の撤退については昨年2月にタリバンと高級ホテルで交渉して撤退合意していた。その時点での合意では「2021年5月1日までに撤退する」ことを決めていた。なんでトランプが撤退を言い出したかというと、アメリカ社会では既に20年続くアフガンでの戦争に嫌気があったから。その合意内容は「条件付き撤退」。というのは、米軍やアメリカ人の撤退中に被害が出る前でも危険と判断すれば事前に攻撃するという内容。だから「アフガン問題に武力では介入するよ」という意志は示していた。それに対してバイデンはトランプが取り付けた合意を今年の4月(4月14日)に変えて、条件を無条件にした。これがバイデンの無条件での完全撤退とは大きく異なるポイントなんだよ。

武井:これは同じ撤退でも意味が大きく異なりますね。トランプ政権では状況次第では戦いながら撤退することも考えていたのですね。

HIROKI:うん。タリバンに掌握された基地をある程度叩いてから撤退することをトランプは考えていた。一方バイデンは無条件で撤退。何か起きたら反撃するというスタンス。だから100人も死んだ悲惨なテロが起きてしまった。

カブールで自爆テロを起こしたISIS-K(アイシス・ケイ)とは?

武井:最近ホットワードになりつつあるISIS-K(アイシス・ケイ)という組織について詳しく解説して下さい。

HIROKI:イスラム国から派生したテロ組織で、これまでも何度かテロ攻撃を起こしている。アメリカを倒すことを目標に掲げ、タリバンとはパキスタンの麻薬ルートを巡って対立している。タリバンを「背教者」と罵るほど激しく対立している。去年2月にタリバンがアメリカと高級ホテルで合意した時は「宿敵アメリカを高級ホテルでVIP待遇しやがった」と激怒したような過激派組織。今のタリバンは表向きは融和ムードを出しているけど、ISIS-Kは死ぬのを恐れず武力行使を躊躇しない組織だからそういう意味ではタリバンよりも過激な組織と言っていい。

「米軍撤退後のアフガンはタリバンとISの戦場になる」

武井:恐ろしいですね。

HIROKI:本当に恐ろしいのは、ISがタリバンから政権を奪取するかもしれないということ。明治維新期に新政府が他国の侵略を受けないよう政権樹立の為に欧米列強から政権の承認を受けたのと同じく、政権樹立には諸外国からの承認が必要で、正確にはまだ現時点ではタリバン政権は承認されていないけど、その承認されていない間にISがアフガンを占領しようと考えるかもしれない。米軍がいなくなった後のアフガンはタリバンとISの戦場になるだろうし、ISが勢力を伸ばす可能性も十分に考えられるよね。

武井:そうなると、まだ政権として樹立していない今が最も危険な時期になりますね。やはりアメリカの存在は大きかったということですね。そうならないように国際社会が注視していく必要がありますね。

HIROKI:だけど今のタリバンは烏合の衆で士気が低いから、ISとの戦闘になれば恐らく負けるかもしれない。もしタリバンの支配力が弱くなりISがアフガンを実効支配することになれば、アメリカに矛先が向けられる。そうなれば本当に9.11のような悲劇がまた起きるかもしれない。

バイデンが独断で前倒ししたアフガン撤退は「サイゴン陥落」の時に似ている

武井:バイデン大統領は突然撤退期限を前倒ししたのですね。

HIROKI:うん。トランプが取り付けた合意では今年5月1日までの撤退が条件だったんだけど、バイデンはそれを9月11日に延ばした。この日は同時多発テロ事件から20年の節目であるからね。で、バイデンはそこからいきなり時期を早めて8月31日に前倒しした。勝手に前倒ししたせいでタリバンが復権したことがアメリカ国内で批判の対象になっているのはニュースでやっている通りだよね。

武井:撤退期限の前倒しは大統領独断で決めたことですか?

HIROKI:そう。これがタリバンとの交渉でなく、バイデンが勝手に決めたことだから叩かれている。バイデンはとにかく米軍の撤退を最優先に考えていて、アフガンがどうなろうが知ったことじゃない訳。でも、そういういい加減な考え方が自分の国に被害が及ぶかもしれないというリスクは頭にないらしいね。

バイデンがアフガン撤退を急ぐ理由

武井:性急すぎますね。急ぐ理由は何ですか?

HIROKI:バイデンが撤退を急いでいるのには訳があって、バイデンはとにかく前の大統領であるトランプと一緒のことはやりたくない訳。トランプと一緒のことをやると国民が「トランプと変わらないじゃないか」と考えて次の大統領選で厳しい状況になるから。だから当初決めた9月11日から8月31日に早めた。第一、バイデンは根は小池百合子のようにナルシストな性格で、これは1月にも言ったね。しかも民主党にも関わらず中道であるから、アフガンは野蛮な国としか思っていない。そんな野蛮な国にわざわざアメリカが支援する必要はないとバイデンは考えている。飛行機にしがみついて撤退する映像がアメリカでは話題になっているけど、今アメリカではこれはベトナム戦争後のサイゴン陥落(1975年。共産圏では「サイゴン解放」)を彷彿させる出来事として、バイデンの失策として国内でも批判されている。

武井:サイゴン陥落では米軍のヘリコプターに押し寄せる市民たちの姿が印象的でした。アフガン撤退はその状況にとても似ていますね。

HIROKI:そう。でもこれからが大変だよ。1月に「トランプが敵対国にはめていたくびきがバイデン当選で無くなって、敵対国が活発化する」と言ったけど、1月に言った通りになったからね。タリバンには米軍が垂れ流した武器や資金があるし、アフガンにはタリバンやISの基地も残っている。米軍が居なくなったアフガンでISIS-Kが勢力を伸ばす可能性が考えられるよね。

アメリカではサキ報道官とFOX記者のやり取りが話題に

HIROKI:それで、今アメリカで話題になっている事を紹介しておくと、サキ報道官とFOXの記者とのやり取りが話題になっていて。どういうやり取りだったか解説すると、記者が「アフガンで立ち往生しているアメリカ人たちを残して米軍を撤退させることに大統領はどう思っていますか」と質問したんだけど、この「立ち往生」、英語で言うとstrandedだね、このワードがアメリカ人からすると引っかかる単語で、サキ報道官が「立ち往生」というワードに噛みついた訳。

武井:なるほど。

HIROKI:そのやり取りの続きを紹介すると、サキ報道官は「立ち往生というのは失礼ではないでしょうか。アメリカはアフガンに残されているアメリカ人たちと電話やメールで連絡を取り続けています」と、次に記者が「あなたは立ち往生しているアメリカ人がいないと言うのですか」と言い、報道官は「あなたが立ち往生と言うからそれは違うと言っている。アメリカは必ずアフガンに残されているアメリカ人たちを脱出させる」というやり取りだった。この「立ち往生」という単語が彼ら(アメリカ人)からすると、「アフガンに残されているアメリカ人たちがアメリカ政府の怠慢のせいでアフガンみたいな危険な場所をぶらぶらしている」という解釈をされたみたいで、アフガンに行った外国人たちは公用で行った人が多いのに政府が脱出を支援しないのはどういうつもりなんだと記者は批判しているというやり取りだった。ただ、この記者と報道官は因縁があるらしく、今回のやり取りはその続きなんじゃないかとも言われている。

武井:これは現在アフガンに残されている日本人と先に脱出してしまった大使館員にも通じるものがありますね。

HIROKI:外務省はあらかじめ日本人に退去勧告はしていたんだけどね。何らかの事情があったのかもしれないけど。アメリカ軍は空港まで行けない日本人たちにバスを送る通達をしたんだけど、大使館に誰も居なければ通達しても無意味だよね。日本は有事とかけ離れた場所にあるから、有事の時の行動が鈍いのが駄目なところだね。

「トランプ再選ならタリバン復権は無かった」

武井:では、やはりトランプ前大統領が再選されていればこうなっていなかったとお考えですか?

HIROKI:トランプが目指していた撤退はさっきも言ったように「条件付き」だったからね。バイデンのような無条件撤退ではない。撤退方針は同じだけど、そこが大きく違う。実際アフガン撤退に関するFOXのニュースで見たけど、ポンペオ(前国務長官)は撤退に関するドーハの会合で「撤退中に何かあればアフガンの基地を攻撃する」とも言っていた。タリバンは融和ムードを醸し出しているけど、本来は9.11を起こしたテロ組織だからね。それを厳しく見ていたトランプを再選しておけば撤退したとしてもタリバン復権は無かった。それは間違いなく言える。

「ノロマのジョーのせいでアメリカがショボい国になった」

武井:最後に、中国とタリバンの関係について解説して下さい。

HIROKI:中国とタリバンは仲良し。タリバンと共闘して新疆ウイグル自治区の独立派を退治しようと考えている。アメリカは、というかバイデンは、アフガニスタンに関する自治は投げて「好き放題やれば良い」という状態。もはや中国にアフガン問題を任せたと言って良い。新疆ウイグル自治区とか、周辺国でテロや衝突が起こる可能性は考えられる。でもね、個人的には中国よりも、ISが復活するかもしれないやばい状況にも関わらず、バイデンの低い求心力に問題がある事の方が気になっている。

武井:と言いますと?

HIROKI:2月の所信表明演説だっけ。あの時バイデンはメキシコ国境にいる移民に「俺のことが好きだからお前ら来たんだろ」って言って、1月に言ったバイデンのナルシストな性格が早速出ているなとドン引きしたんだよ。その時にやっぱりこの人は大統領に相応しい人間ではないと感じてね。それは政策にも現れているよね。バイデンは所得の再分配を行おうとしているけど、それは国を支える富裕層を締め付ける事に繋がるので、ナルシストな彼が果たしてそんな自国を衰退させるような事が本当にできるのか。また、コロナ対策も今は良い方向に進んでいるかもしれないけど、新しい変異株の出現で今後もしばらくコロナ禍が続く場合、ワクチンを4回以上も公費で打ってくれと言い続けられるかどうか。敵対国もトランプがいなくなって活発化し、強いアメリカがどんどん「弱いアメリカ」に堕ちている。はっきり言ってノロマのジョーのせいでアメリカがショボい国になっている。米軍撤退後にISがアフガンを支配し、今後もしアメリカに直接的な脅威となる出来事が起きれば、トランプ再登板も十分考えられる。

※このインタビューは8月28日正午に行ったものです。アフガン情勢は現在進行形のため、記事投稿時(8月29日)ではインタビュー内容と異なった情勢になっている可能性もありますが、重大事件の解説という内容のためインタビュー内容をそのまま掲載しております。

※訂正のお知らせ:本誌代表のISというワードを聞き手である武井がISIS-Kと解釈し、初稿ではISIS-Kとして記事に起こしましたが、正しくはISです。9月3日に訂正致し、タイトルも変更致しました。確認を怠ったことをお詫び申し上げます。

-HIROKIのプロフィール

元関東学院大学大学院客員講師の映画ライター。専門は日本文化(日本映画論)。過去に半年間のアメリカ滞在歴があり、2020年アメリカ大統領選挙の予想を的中させた実績がある。不動産経営でも実績を伸ばし、2020年3月から「コロナ支援プログラム」として映画業界に約600万円を支援した。