【実機レビュー】オーデマ・ピゲ(ロイヤルオーク)★管理人おすすめ時計【8/14英訳版追記】

※I posted an English translation of this review. Please see from the following link:https://stadyplus.com/audemars-piguet-royal-oak/

 ロイヤルオークは、世界三大ブランドの一つであるオーデマ・ピゲを代表する時計である。

 デザインはかの有名な時計デザイナーのジェラルド・ジェンタ。彼が好んだ八角形のベゼルに、細かく連結されたブレスと、ロイヤルオークのデザインはたった1日でデッサンを仕上げたと言われており、1972年にジェンタがデザインしたこの時計は現在でもピゲを支える大物ラグジュアリースポーツウォッチになっている。

 オークはモデルチェンジする毎に数百万以上の値上げを行い、正規店では多くの予約者がおり、普通に正規店で購入するのは困難になっている時計でもある。購入に至った経緯は、5月23日投稿の武井氏とのインタビュー記事で詳しく答えたので、そちらを参照願いたい。

良い点と悪い点

良い点:

 ・ロレックスを凌駕するほどの、最上級の仕上げ

 ・高精度なムーブメント

 ・秀逸なデザイン

 ・17.5cmの腕回りでも良好な着用感

 ・ピゲは永久修理体制を取っている

悪い点:

 ・ブティックの有力者の紹介が無いと正規店で購入するのが難しい

 ・モデルチェンジ毎に数百万を超える大幅な値上げを行っている

 ・雲上ブランドだが、ロレックスやウブロなどに比べると、一般的な知名度は低い

 ・防水性能が50m防水しかない

 ・クラウンの形状故にクラウンを回しにくい時がある

見とれるほどの最上級の仕上げ

 その極上の仕上げを文章で、可能な限り伝えよう。

 外装は職人が全て手作業で磨き上げ、ゴールドローターが付いているムーブメントの細部まで丁寧に磨き上げている。ブルガリオクトも同じように、平面をサテン、曲面をポリッシュで磨き、キラキラと輝く様が魅力的であったが、オークの研磨は手作業で磨いた証が分かるような線がよく見える磨き方で、角も鋭いし、非常に風格を感じるものである。ベゼルのピスは全て、センターに向いている。

 究極的な話だが、ブルガリオクトの仕上げも素晴らしいのだが、ロイヤルオークはそれを超えるものがある。ここまでレベルの高い仕上げは、ロレックスにはまず無理だろう。

 先日投稿した黒サブの実機レビューの総評で「ロレックスは正規店に在庫を置かない程供給量を制限するのであれば、もっと高いレベルで製造して欲しい」と書いたのは、上記のように雲上ブランドの仕上げが段違いなレベルであるからだ。オークの優秀な仕上げを見てしまうと、仕上げの悪いロレックスをプレミア価格やマラソンで買うのは懐疑的に思えてしまう。

ロービートなムーブメントCal.3120

 この時計に搭載されているムーブメントは、Cal.3120というジャガー・ルクルト製のムーブメントをピゲが2003年に改良したものを搭載している。

 Cal.3120は、1時間で21600回で、一般的な28000回振動と比べると低振動である。だが、精度は筆者のもので日差±2~3秒程度とかなり安定している。また、クラウン回転時にムーブメントに不測の負荷がかからないよう、車輪を独立させており、摩耗対策も取られている。パワーリザーブは約60時間と長めだが、ロングリザーブは最近の低価格な時計でも増えてきたので、このレビューのメリットとしては挙げなかった。

ゴツい見た目だが腕が細くても装着感は良好

 筆者の腕回りは約17.5cmだが、そんな細い腕でも適切に調整すれば装着感は悪くない。腕が細ければもっと小さい直径の方が良いと思うが、このサイズも悪いとは思わない。

 手を曲げた時に時計が当たって痛く感じる時もあるが、それはゴツい見た目なのと、エッジが鋭い為。エッジが鋭いのは、手作業で磨いている証だ。

傷が入りやすいのはデメリットか?

 ヘアライン仕上げの為、スクラッチ傷が入りやすくなっている。

 だが、果たしてそれはデメリットだろうか。筆者はこの時計に関しては違うと思う。

 エレガントさを求められるドレスウォッチであれば綺麗に扱いたいものだが、オークのようなスポーツウォッチは傷が入ってもそれが長く使ってきたという勲章になり、寧ろ良いエイジングになるのではないだろうか。

 雲上ブランドのような時計になってくると、傷が多少入っても落胆せず、ユーザーが受け入れられるぐらいの懐の深さが求められるのだと思う。

総評:もう、これ一本あれば他の時計が要らないぐらい、大変素晴らしい時計だ!

 ロレックスマラソンとは一体何なのかと不思議に思ってしまうぐらい、この時計は大変素晴らしい。

 こう評価した理由は、三針で余計な機能が無いのと、正方形に整えられた文字盤、ジェンタの秀逸なデザイン、永久修理体制、そして何度も書いたように極上の仕上げが理由である。反対に、これ以上を求めたら蛇足になってしまうだろう。オークのクロノグラフ版は、クロノグラフ機能を強引に詰め込んだ感じだし、デザインもやり過ぎで、蛇足な印象を受ける。

 ただし、ロイヤルオークを巡る正規店の状況は年々厳しくなっている。2021年現在、ロイヤルオークは富裕層の間で人気になっており、またコロナの検疫強化による海外からの物流制限も相成り、正規店では予約待ちの状態が続く。ブティックによると、貴金属が入っているモデルでも予約待ちの状態で、さらに高額な価格改定も行われ、購入のハードルは上がっている。どうしてもすぐ欲しいなら、ブティック客の紹介を受けて予約待ちの列をスキップして貰うか、プレミア価格になっている中古を買うか。

 また、オークに頼ってばかりいるピゲの状況も不安ではある。CODE11.59という新コレクション発表後も、ショーケースに展示が何個かされており、ピゲはオークに依存する状態が続いている。ロイヤルオークのデメリットの話というよりも、オーデマ・ピゲのデメリット要素であるが、スイス時計職人の生活も厳しい状況だと聞くし、オークの人気が落ち着いた後がやや気になる。

 4月にサブマリーナデイトを外商経由で購入したが、ロイヤルオークを手に入れた後は黒サブがおもちゃに見えてしまい、個人的には必死にロレックスマラソンをするなら、永久修理でもある雲上ブランドを狙った方が購入後の満足度は高いと思う。だが、好みや用途は人それぞれだから、その点は軽く呟く程度に留めておく。ブランドに関係なく、ベストは自分が気に入った時計だろう。

 個人的な話として、将来的にジャガー・ルクルトのレベルソも購入したいと考えているが、かなり渋い時計なので、もう少し歳を取って自分が時計に相応しくなってからだ。人生最後の時計、いわゆる「上がり時計」になるだろう。

(HIROKI)