【実機レビュー】ブルガリ(オクトローマ)★管理人おすすめ時計

 ブルガリオクトは、2012年に発表されたブルガリを代表する時計である。ブルガリは宝飾系ブランドだが、近年はジェラルド・ジェンタの買収などのムーブメント会社を傘下に入れることで時計メーカーとしての力もつけており、事実、完全自社開発製造される時計の完成度は高いレベルにある。

 筆者が所有するモデルは、ブルガリオクトローマ。このシリーズのなかで、2019年に発表された、ローズゴールドを控えめに配したモデルである。古代ローマの遺跡の円柱をモチーフにした円形と、ジェンタが好んだ八角形を組み合わせたベゼルは、圧巻である。

良い点と悪い点

良い点:

 ・ラッカー文字盤、ブレスレットの自社製造、職人による手作業の仕上げなど、完全自社製造かつ高い完成度

 ・ムーブメント(bvl.191)も自社製造で精度も許容範囲(個体差があるが、筆者の時計は日差約+3~4秒程度)

 ・ヘッド(時計本体)が薄い

 ・絶妙な重量とバランスがあり、装着感が優れている

悪い点:

 ・クラウンを引き出す感触が良くない

 ・部品保有期間など、オーバーホールに関する情報が少ない

優美な外見

 ブルガリオクトは、文字盤をラッカーで仕上げ、外装のサテンとポリッシュは職人が手作業で磨いている。その輝く姿は、上品である。

 特に、ブルガリのラッカー塗装技術は、スイス時計界でもトップを争う程の高度な技術力であり、オクトの文字盤は12~24時間かけて何度も塗っているという。ブラック文字盤は吸い込まれるような深さがあり、筆者のモデルはグレーだが、グレーも光の角度によって見た目が変わるので、時計を見るのが楽しくなる。

 文字盤は時計の顔なので、文字盤が綺麗に作りこまれていると、時計全体が美しく見える。ムーブメントが薄いので、ヘッドが薄型になっている。ブルガリは最薄クロノグラフムーブメントを開発したことも有名だが、薄型ムーブメントは現在のブルガリのお家芸になっている。

 この時計を手で持って見てみると、横のラインが薄く、全体的にスレンダーな形をしている。分かりやすく言えば、まるでジャケットを着た長身イケメン男子のような端正さである。

優れた装着感

 そうした優美でスレンダーな外見に加えて、ブルガリのメタルブレスレットは、短い駒を数珠繋ぎで多く接続させているため、しなやかな装着感である。しなやかな装着感を達成させるのも、上品なブルガリらしい。ピン止めであるが、接合部分が強固になっているため、ロレックスのようにブレスがヨレる心配もなさそうだ。

 観音開きのバックルも固く、しっかりと作られている。接合部分はパテックやロレックスのようにセラミックではないが、外すのが大変なほど固くできているので、摩耗による耐久性も高そうな印象を受ける。

 クラウンも、太く、ギザギザの刻みが入っているので、巻きやすい。

 また、ヘッドが薄く、ブレスもヘッドと同じ厚みと重さなので、適切な調整を行えば着けているのを忘れるほど快適な装着感を味わえる。だからと言って、時計が軽すぎることはなく、絶妙な重量感がある。上記した高度な質感に加えて、この快適な重量も考慮して設計したのであれば、ディテールはかなり凝っていると言える。

クラウンの引き出しが甘い

 良い点ばかり挙げてきたが、気になった点が1つ。クラウン(リューズ)の引き出しの甘さである。

 クラウンは通常、2段階引き出して操作するが、オメガのプラネットオーシャンのように引き出す際にカチッと抵抗のある感触が無く、オクトは1段階と2段階の引き出しの境目が曖昧で解り難くなっている。そのため、2段階引いたと思っていたら1段階だったという時もある。

 1段階目は日付変更機能の禁止時間帯があるため、クラウンを引き出す際は1段階か2段階かに注意しなければならない所が、この時計の悪い点である。

オーバーホールに関する情報が少ない

 ブルガリの時計でネックなのは、オーバーホールに関する情報が少ないのと、時計メーカーとしての実績が短いことである。

 一般顧客向けに時計製造を始めたのは1977年だが、ダニエル・ロートやジェンタを買収し自社ムーブを製造できるようになり、ウォッチメーカー宣言をしたのは2010年になってからだ。ブルガリの時計メーカーとしての実績は、実質的にまだ長いとは言えない。

 技術力に関しては、ムーブメントを自社開発製造できる程なので、実力は確かである。この時計が搭載するムーブメント「bvl.191」は、ブルガリの時計に広く供給されているものなので、修理に関しては簡単にできるはずである。

 だが、ブルガリは明確な部品保有期間を設定していないので、いつまで修理しながら所有できるかは不透明。マニュファクチュールなので、あえて期間を設定していないだけなのかもしれないが。

 ブティックにも聞いてみたが、「新ムーブの修理はスイス送りです。部品の保有期間は分かりません」と言われたので、オーバーホールに関する情報量の少なさは懸念材料。もしかしたら、予想外の高額な修理代金を掲示されるかもしれないが、それはそれでスリルがあって面白そうだ。

総評:100万円未満のラグスポ狙いで、ジェンタロゴでない点を気にしないならお勧めしたい

 オクトシリーズは元々、ジェラルド・ジェンタが得意としたシリーズであった。ジェンタは、パテックやオーデマピゲのデザインを行った大物時計デザイナーであるが、ジェンタが好んだとされる八角形のデザインのオクトシリーズは、ジェラルド・ジェンタのロゴとレトログラードを組み合わせた文字盤が主流であった。

 ブルガリオクトはそのジェンタロゴが無く、ブルガリロゴに置換されてしまっているが、ブルガリオクトはあくまでもブルガリの時計であるので、その点はこのレビューでは悪い点として挙げなかった。

 だが、完全自社製造で、この完成度の高さにも関わらず、定価は100万円を切る935.000円である。個人的には、このモデルはローズゴールドを配しているので、もっと高い定価に設定しても良いと思うが、100万を切る価格も企業努力なのだろう。

 デザインや外装ばかりに拘るのではなく、高精度かつ高耐久のムーブメント製造に注力し、分かりやすいように大げさに表現するが、ロイヤルオークにも負けないぐらいの完成度の高さを見せつけたブルガリの企業努力は、素晴らしい。

 「ブルガリは宝飾系」と侮るなかれ。

(HIROKI)