物価上昇で富裕層の消費行動はどう変わった?超富裕層と顧問契約中の本誌代表HIROKIが指摘

現在、ウクライナ情勢の悪化により円安と原油価格高騰が原因で物価が上昇しております。原油の価格が高騰することで輸送コスト上昇につながり、さらに円安も追い打ちをかけて物の価格を押し上げています。

物価上昇は生活必需品だけではありません。ロレックスの高騰は有名なお話ですが、例えばシャネルを代表するセラミックを採用した腕時計J12の38mmモデルの価格は2019年デビュー時は70万円でしたが、現在88万円まで上昇しています。このように、物価上昇の波は生活必需品だけではなく高級ブランドにまで波及している状況です。

今月21日に、総資産5億円以上のある超富裕層である親会社の社長と顧問契約を結んでいる本誌代表HIROKI(老人ホーム経営コンサルタント)にオンラインでインタビューを行いました。インタビューで同氏は「5億を超えるような超富裕層の消費行動にも影響が出ている」と指摘しております。

中国のようなゼロコロナ対策をやる企業も

HIROKIは潰瘍性大腸炎の点滴治療のため今月半ばに入院をしていました。

武井「入院生活お疲れ様でした。体の調子はいかがですか」

HIROKI「入院中4600万円の誤送金がテレビでずっとやっていて呆れたわ。点滴受けながら日本ってすげえ遅れてるなって。これはアメリカの人が聞いたら日本って時代遅れだと思われるよ。受け取った男は4000万が大金だと思ったのか知らないけど、4000万なんて俺の去年の年収の3分の1だし頑張って経営者になったらそのぐらい稼げるからね。素直に返せば良かったのに、人生を棒に振ったね」

武井「フロッピーディスクを使い続ける町役場も驚きました」

HIROKI「ま。それはともかく、退院して元気になったのでこれから京都に行って大学院の研究を頑張りたいと思います」

武井「本題に移らせていただきます。HIROKIさんは現在親会社の社長と顧問契約を結びながら老人ホームの顧問を勤めておりますが、そのなかでコロナ禍に入り生活が大きく変わった実感はどのような形でありますか?」

HIROKI「まず、会社での行動制限がありました。うちの場合、僕が顧問をやらせていただいている老人ホームが属する子会社が親会社の傘下に入っている状態なんですが、親会社が中国のようなゼロコロナ政策を始めました。2020年に親会社で感染者が出て、その時に保健所への連絡やら消毒やら対策やらでゴタゴタがあり、社長さんの家族がとても不愉快になったそうです。それで奥さん(親会社の役員)の鶴の一声でゼロコロナを始めることになり、親会社に勤める社員は全員不要不急の外出禁止を通達したんです」

武井「会社ごとでゼロコロナをやったんですか。かなり厳しいコロナ対策をやっているんですね」

HIROKI「そうなんだけど、社長さんの奥さんが一旦ゼロコロナを始めるって言ってしまった以上、社長さんの家族もそれを厳守しなきゃならなくなった(笑)なんでかと言うと、社長さんの奥さんがゼロコロナを提唱して社員がそれを厳守しているのに、社長さんの家族が守らなかったら会社がおかしくなるから、社員は全員不要不急の外出ができなくなってしまったんですね」

武井「それは大変ですね」

HIROKI「実際今年のGWも外出禁止令が出ていたようです。僕も4月に社長さんから「ホーム(老人ホーム)でもゼロコロナをやってくれ」と頼まれたんですが、僕のほうは「ホームはコロナ対策を厳しくやっているし、それ(ゼロコロナ)をやるとヘルパーからも不満が出るかもしれないので、持って帰って考えます」と答えました。ゼロコロナの依頼は去年もあったんですが、僕は同じ理由で断っていました。で、結局ホームでは今のところ(ゼロコロナ対策を)やっていないんですが、元々防護服を着て介護をやっているうえに利用者は基本的に施設内で生活しているので老人ホームは感染しようがない環境だとも考えています」

武井「昨年秋は日本では感染者数が落ち着いていましたが、秋もゼロコロナを続けていたのですか?」

HIROKI「秋はワクチン接種する人が多かったけど、ワクチンを打っても感染する場合があるので続けていました。でも、そこまできついゼロコロナは親会社の社員の生活にも大きく影響を与えているらしいです」

武井「会社でのゼロコロナ対策が生活に影響を与えたんですね。どういう風に変わりましたか?」

HIROKI「不要不急の外出ができないので、お金の使い方が変わったと思います。今までは旅行とか、飲食代や高級品などに使っていたのが、投資を始めた社員が増えたらしいです。僕は株や仮想通貨という類は一切やっていないのでよく分からないですが、米国株を買ったとか、あれが上がった下がったとかで社内で盛り上がっているようです」

武井「恐らく将来を見据えて貯蓄を増やそうと考えている社員が増えたのかもしれません」

HIROKI「そうだと思います」

武井「内心(会社のゼロコロナ対策に)不満に感じている方もいらっしゃるのではないですか」

HIROKI「ゼロコロナ云々以前にコロナ禍に対してみんな不満を持っているからね。ゼロコロナに対する不満なのかコロナ禍に対する不満なのかはっきりしないところもあると思うよ」

数十億あっても堅実な生活に変えさせたコロナ禍の物価上昇

HIROKI「僕は正直、社長さんの家は超富裕層なんですが、超富裕層の人って物価高でもavexの会長のように派手な生活を続けるのかなと勝手に思っていたんですが、これが大きく違っていて驚きました。コロナ前と後で大きく変化しています」

武井「どのように変わったんですか?」

HIROKI「とにかく無駄な消費はなくす方向に変わりました。コロナ前まではとにかくブランド品や服を買いまくっていたんです。例えば僕も一緒についていきましたが銀座に行けば知り合いの店員がいて、そのためにあっちこっちで買い物をする。パリに自分の工房があるので、良い革が入ったと聞いたらすぐにパリに行ってバッグを作ってもらう。僕は超富裕層はコロナでもそうした生活を続けるんだなと思っていたんですが、コロナになってからはかなり堅実な生活に変わっています。どう変わったかと言うと、まず不要な物は買わなくなりました。服やバッグは今持っている現有戦力でローテーションして回す感じ。持っていると言っても普通のクローゼットと違い6畳ぐらいある部屋にたくさん服があるクローゼットですけどね(笑)そこでローテーションして今ある服を使い回す。バッグも同じ。だけど余りにも流行から外れている物は着ないようにするようです」

武井「売れっ子ユーチューバーの家にあるクローゼットのようですね(笑)物価高といえ、超富裕層となると値上げは気にしないようにも思えますが、やはり無駄遣いをなくす方向に変化しているんですか?」

HIROKI「超富裕層と言えども、流石に数十万を超える値上げとなると買うのを考えるらしいです。実際、社長に会った4月にとある時計を買おうか考えていますと言ったら「円安でこの時計を買うのはバカだからやめろ」と僕に忠告されたこともあります。それと流行は重視していますね。「あのコートはもう時代じゃなくなった」とか。コロナ禍がいつまで続くか不透明な状況で、買った後で流行ではなくなるかもしれない物を高い価格で買うという行為がアホだと考えているんです」

武井「単に買い物をするのではなく流行を見据えつつ価格変動のタイミングを計って買い物をされるんですね」

HIROKI「SDGsが訴えられる世の中でしかも超富裕層ですら買い控えをしている状況なので、昔のように高い物を買いまくって飽きたら売るか捨てるというような商売スタイルはもう通用しないと思います。普通の人から見たら金持ちの道楽に見えるけど、富裕層からするとこの塩梅が結構難しい。特に重役クラスになると流行に遅れたファッションは好ましくないので、コロナ禍で高い買い物をするのはとても難しいことだと思います。増してや円安と原油上昇で物価が大幅に上がっているのに。なので既にたくさん物を持っている超富裕層は無駄遣いを無くして買い控えをする方向に入っているんです」

武井「高級品を買わなくなった一方で消費行動が変化した部分はありますか?」

HIROKI「さっき社員が貯蓄を増やすために投資を始めたと言ったけど、超富裕層の場合は元々貯蓄があるので、貯蓄を増やすための投資に躍起になっているという感じには見えません。ゼロコロナを堅持しつつ消費をしているものがあります。それは飲食ですね。例えば僕の親会社の場合ゼロコロナで不要不急の外出ができなくなっているという話はさっきしたけど、だからと言って超富裕層が全く家に引きこもりになってしまうとブラックカードの更新に影響を及ぼす恐れがあるので、カードの実績を作るために飲食にお金を使うことが増えました」

武井「飲食というとコロナ前でもあるような気がしますが、違う点は何ですか」

HIROKI「飲食と言っても、銀座にある店を片っ端からやたらめったに食いまくる訳ではなく、経費になる飲食を増やす方向に変わった。政治家はよく料亭や高級レストランで会合をするでしょ。それと同じように、家族の飲食でも関連会社の社員を呼んで一緒に飲食をすることで経費として落とせる飲食を増やしています。僕は病気でワクチンを3回目は打てないので呼ばれませんが(笑)コロナが始まった2020年は家族だけで飲食というのがセオリーだったのが、家族だけだと経費として落とせません。コロナが長引くような気配が出た昨年から経費として扱える飲食を増やしています。しかもまん防があったので短い間にできる限り高い場所で高い食事をするようにする。そうすることで、美味い物が食えるうえに、節税にもなるし、カードの実績にもなるという一石三鳥の消費行動が出来ているんです」

武井「経費として扱える飲食を増やすことで無駄遣いを減らすことにもつながっている訳なんですね」

HIROKI「あと、関連会社の人を食事に招くことで情報をゲットできるという側面もあるね。無駄遣いを減らすという面では、外出する時は目的を絞って寄り道をしなくなったというのもあります。例えばコロナ前は銀座で飯食べた後でブティックを巡って買い物をするというのが定番だったのが、コロナになってからは1つの目的を達成したらすぐ家に帰るというとんぼ返りスタイルに変わった。銀座のブティックってドアを開けないと入れない店が多いけど、一度入っちゃうとどこかに知り合いの店員がいるから何か買わなきゃいけない雰囲気になる。そうならないために、レストランで食べたらすぐ家に帰るというとんぼ返りスタイルに変化しています。勿論海外旅行もゼロコロナ対策があるからそもそも行くという考えが無いし。30億ぐらいあるようなお金持ちでもやっぱり変わるんですね」

HIROKIが実践している節約術とは?

武井「HIROKIさんは昨年1億円以上の年収がありましたが、物価上昇で何か変えている行動はありますか?」

HIROKI「僕は社長さんほど真面目じゃないのでそこまで厳格に節制はしていません(笑)2月にパークハイアット東京でホテル生活をしちゃったし」

武井「ありましたね(笑)」

HIROKI「持っている腕時計を使って「レンタウォッチ」というレンタルサービスを始めました。武井さんも参加してくれているけど、家に時計を寝かせておくなら使いたい人にレンタルさせた方がいいなと思って始めました。元々マレーシアに移住するためにエージェントと契約していたんだけど、その方を通訳として契約して中国語を通じて現地の中国人に「どんなレンタルサービスが欲しいか」聞いて始めました。中国への販路は親会社が持っているので、ルートさえあれば時計を送るだけなので行動制限が厳しい中国でレンタルサービスは逆にビジネスになると確信しました。その利益は中国の口座に入れるけどね」

武井「節約ではなくお金を増やす方へ変えたのですね」

HIROKI「減らすほうで言えば、食費は抑えるようにしているね。基本的に1日2食。ま、元々潰瘍性大腸炎でそんなに食べれないから食費を抑えることに苦労は無いんだけど」

大学院進学のため、6月に品川のシェアオフィス経営権を移管へ

武井「ゼロコロナ対策を取る会社の方とはオンラインで対応する感じですか?」

HIROKI「そうですね。一応ホームとシェアオフィスに関しては僕に任されているので、定期報告はオンラインです。親会社の社員とのやり取りも同じ。4月にあった会合は対面でした。社長はそもそもディレイ(リモート会議の映像の遅延)が嫌で対面を希望されているので、僕はそれを尊重するだけです」

武井「社長はゼロコロナ対策をしたくない反面、奥さんがゼロコロナ対策を始めた以上これを継続しなければならない状態なんですね。HIROKIさんが経営する老人ホームとシェアオフィスでは今後もゼロコロナ対策をしない予定なんですか?」

HIROKI「シェアオフィスに関しては大学院の授業で京都に行くため6月から社長に経営権を渡すので、来月からシェアオフィスでゼロコロナが始まるかもしれません

武井「京都に行かれるんですね」

HIROKI「はい。老人ホームに関しては厳しい感染対策を続けているのでゼロコロナをやる考えはありません。ホームでゼロコロナを始めたら利用者との面会にも支障をきたすので難しいです。STADYPLUSでは6月から京都の記事を増やして京都特集でも始めようと思っています!

聞き手:武井誠治