【日大背任】本誌代表HIROKI「日大生が日大に文句を言う資格は無い」

日大の背任事件と田中前理事長の逮捕がスキャンダルになっております。2018年にはアメフトタックル問題でもスキャンダルを引き起こし、同年度の補助金が合計35%カットされる事態となりました。(日大が「日東駒専」から転落する日…田中前理事長逮捕が2022年受験シーズンを直撃か

今回、本誌では元大学院客員教員を務めた経験のあるHIROKI代表に日大背任事件についてオンラインでインタビューを行いました。

※インタビューは2021年12月15日に行いました。

7年前にHIROKIが違和感を感じた日大学事課の対応

HIROKIによると、日大の体質の根源に2011年に起きたカンニング自慢事件があるという

武井「大学の経営に関わる幹部が今回の背任事件を引き起こしてしまったというのは正直驚きました。日本国内の大学は少子化で国からの補助金に依存する状態が続いており、今回の不祥事は日大に無関係な人でも他人事ではないのかもしれません。今回の不祥事、大学教員だった立場からどのようにお考えですか」

HIROKI「僕は7年前に大学院を受験する際、社会福祉学志望だったので日大の文理学部か東洋大学を受けるか考えていたのですが、合格したら2年間お世話になる大学院になるのに一度も行かないのはダメだなと思い、日大に足を運んだ事があるんです。その時に教員の方と話をする機会があって、とても親切に対応されてくれましたのでここで勉強しても良いかなとも思ったのですが、その後日大に通っていた友達から過去にTwitterでカンニング自慢をした事件があったという話を聞いてネットで調べてみたんです」

武井「そのカンニング事件について詳しく伺えますか」

HIROKI「2011年に起きた、定期試験の単位をカンニングで取得したという事をTwitterで自慢した事件です。そんなことがあったのかとネットで調べるうちに、学事課の対応が変だなと思ったんです。ネットで掲示の画像を見つけたんですが、学事課は「SNSはやってもいいけど自己責任でやってね」という掲示をしたそうなんです。大学の単位は第三者からも認められる公正なものでなければならないのに、実際に編入試験や大学院試験では大学で取った単位や成績が加味されますし、それ(単位)をカンニングで取得してSNSで自慢までするというのは学校としても厳正な対応を取らなければならないはずなんです。なのにSNSの利用禁止まで踏み切らなかった。臨時集会を開いてネットリテラシーを徹底して教育すべきだし、(学事課の掲示に)違和感を感じました」

武井「その掲示は今すぐ見ることができますか?」

HIROKI「(スマホ画面を見せながら)これです。掲示されている文面から察するに、学事課は「書き込んだ学生の自己責任」だとしか思っていない。だけど、大学って勉強する場所なんだから「気を付けてください」と注意するだけじゃ不足しているんですね。本当に危機意識があればこんな掲示をしないはずなんです」

武井「カンニングをしたのに大学として正式な処分はしなかったのですね」

HIROKI「いや。取得した単位が全て未履修になる処分があったらしいです。これは他大でもカンニングがバレれば取得単位全部未履修というオーソドックスな処分ですね」

武井「国内最大級の大学としてはあっけらかんとした対応と言えますね」

タックル問題の前から続いていた日大の悪しき体質

HIROKI「このカンニングに関するネットの記事を色々と見て、(日大は)大学として難があるなと感じました。学生がやらかしても大学としてきちんと対応できない大学だなと。それで僕は日大じゃなく東洋大学の大学院を受験して合格しました。案の定、その後にタックル問題が起き、今年は背任事件が発覚しました」

武井「その時(2011年)から日大の悪い体質が続いていたのですか。まるでHIROKIさんの7年前に悟った違和感は的中してしまった体裁ですね」

HIROKI「はい。世間ではタックル問題で印象が悪くなったけど、僕からするとこのカンニング自慢の対応でこの大学はまともな対応ができない大学だと察しました。タックル問題の時関西学院大の方はどうしてタックルが起きてしまったのかと真相解明の方向へ展開した反面、日大の学事課は「法人としてコメントすることはない」と公務員の対応のようにドライに言ってしまいました。学事課という部署自体、役所と一緒で外の世界が分からない閉鎖空間なので、そのお役所体質がそのまま出てしまった発言かなと僕は考えています」

学部の点在が不満を言わせないワンマン体制を作っている?

HIROKI「僕が思うに、日大って他の大学と決定的に違うのは、学部毎に全く違う場所にあるという事なんですね。学部同士の交流も薄いし、学部が違うと実質的に全く違う大学と言っていい。一般的な総合大学なら他学部の教員との繋がりがあるから「うちの大学しっかりしろ」と団結して圧力をかけられるんですが、日大のように学部毎に違う場所にあるとそれも難しいのかもしれません。僕が勤めた大学の話をすると、例えば他学部のゼミから時代劇の歴史について簡単でいいから学生に教えてくれと助っ人として1度だけ授業を依頼される時がありました。1回の授業で簡単に教えられるような内容じゃないし、他学部の学生に分かりやすく教えなきゃならないので正直嫌でしたが(笑)。そうやって学部の垣根を越えて教員同士が助け合っているからワンマン経営になりにくい。自分の推測ですが、他大に比べて他学部の教員同士の交流が薄く不満をあげにくい体質になっているというのも田中色を払拭することができない要因になっているのではないかと思っています」

武井「なるほど。実は僕も日大卒業生の知人からサークル活動で他学部の学生と交流があまりできなかったという話を伺ったことがあります。教員同士の連帯感が薄いのも今回の不祥事を招いてしまった原因として考えられるのですね」

日大生は怒りの矛先を間違えている?

HIROKIは日大に怒る日大生が理解できないという
(https://news.yahoo.co.jp/articles/c7fee5e4c8b95be8311654b4a7fc2b8513c7eb41)

HIROKI「テレビのインタビューで「うちの大学しっかりして欲しい」とか「田中(前理事長)許せない」と文句を言っている日大生が分からない。なんか勘違いしているんじゃないかと」

武井「と言いますと?」

HIROKI「タックル問題の前に入った人が文句を言うならまだ分かるんだけど、問題の後に入った学生が日大に文句を言う資格はあるのかなと。問題後に入った学生は日大のワンマン経営をタックル問題を報じた新聞やニュースで知ることができる機会があったのに、知ろうとしなかった。そういう体質がある大学なんだと知った上で受験するかどうか判断すべきだったのに、そうしなかった。僕は受験前に大学に足を運んでその大学について色々と知りましたけど、最近の大学生はそうやって自分が入る大学を知ろうとする努力が足りないんです。それなのに、いい加減な考えで入った大学に「うちの大学しっかりして欲しい」と文句を言うのは傲慢なんじゃないかと思います」

武井「タックル問題は対岸の火事と考えていた学生は反省を促すべきだと?」

HIROKI「そう。日頃から新聞やニュースを見ないからこうなるんですよね。タックル問題で日頃から新聞やニュースを見ていれば受験前に日大の体質が分かったはずなのに、今いる1年生から3年生は自分が受験する大学を知ろうしなかった。大学を知ろうとしなかった学生が悪いのに、大学のせいにするのはお門違いですよね。学費を払ってくれる親に対しても無責任だし、そもそも親もタックルを容認するような大学に入るのを反対すべきだったと思いますけど。本来なら大学に文句を言う前に、学生の無責任な考えを反省すべきなんです。だからタックル問題の後に入った日大生が日大に文句を言う資格は無いと思います。日大生はマスコミのインタビューを受けるなら日大に怒るんじゃなくて、「日大に入ったのが悪かった」と答えるべきだったはずなので」

大学進学を前提として日大生が日大に憤るのはおかしい

武井「日大に入学された方の中には「日大でしかできない勉強がある」と考えている学生もいると思います」

HIROKI「教員をやっていたのでよく分かりますが、「周りが大学行っているから俺も私も」という軽い気持ちで大学に来るレベルの低い学生が多過ぎるんです。例えば「日大しか受からなかった」から渋々入った大学の体質に憤るという学生もいるけど、そもそも別に大学は義務教育じゃないから義務でどこかの大学に行かなきゃいけない訳じゃないし、受かった大学に行きたくなければ行かなければ良い話なので、日大にしか受からなかったから日大の体質に怒るという考えは傲慢だと僕は思います。

それに「日大じゃないとできない勉強がある」という人もいるけど、例えば映画業界志望している日大生だって日大の映画学科に拘らなくても三池監督(三池崇史)や『コードギアス』の谷口悟朗の出身校である日本映画大学(当時は大学ではなく専門学校だった)もあるし、大卒じゃなくても専門学校を出て活躍している人も実際にいる訳なので。これが日本じゃなくアメリカなら、フィルムスクール(映画大学)出身者を業界が優先的に採用している現実があるので、大卒じゃないと相手にされないから勉強してフィルムスクールに行くしかないよねという話になるけど、日本なら無理して大卒に拘らなくても映画界なら専門卒も努力次第で食っていける世界ですから。現実的に日大じゃなくてもできる勉強が多いからそれも言い訳にならないと思います。

「アルバイトで困窮しているのに田中(前理事長)何やっているんだ」と憤る学生も、日大を選ばなくても学費が安い夜学や通信制大学だって世の中にはある訳なので、それでも自分で選んだ日大に文句を言うのはお門違いだと思います。要は文句言うなら他の大学行けばいいという単純な話なんですが、そもそも大学に行かなければならないという前提で日大生が日大に憤るのがおかしな話なんです。大学を受験するなら、入ってから後悔しないためにもその大学について知る必要もあると僕は思います

聞き手:武井誠治

編集:武井・HIROKI