【実機レビュー】ロレックス(サブマリーナデイト)【7/19追記】

 ロレックスサブマリーナデイトは、ロレックスのスポーツモデルの中でも人気の高いモデルだ。現在ではロレックスの供給制限と、コロナ禍の減便も相成り、正規店では在庫が無い状態が続いている。

 ダイバーズウォッチは、本来フォーマルな場では不適切だとされてきた。しかし、007シリーズでショーン・コネリーがNATOベルトと組み合わせたサブマリーナをタキシードの袖越しに着用したことで、ダイバーズウォッチの世間的な見方が見直された。ダイバーズウォッチが時と場を選ばなくなったという意味で、サブマリーナがダイバーズウォッチの歴史を大きく変えたと言っても過言ではない。

 サブマリーナは2020年にモデルチェンジが行われたが、筆者の所有するモデルは先代である直径40mmのもの(116610)である。現在は、ジェームズ・ボンド同様、NATOベルトに交換している。

良い点と悪い点

良い点:

 ・圧倒的な人気と知名度がある

 ・ヘッドとブレスレットのバランスが良い

 ・ダイバーズにしてはランニングコストが安い

 ・スーパーステンレスを採用しており、アレルギー反応を引き落としにくい

悪い点:

 ・正規店では在庫がほぼ無い

 ・全体的に外装がチープ。雲上ブランドと比較すると明らかに劣って見える。

 ・ブレスレットの繋ぎ目がチープ

 ・ガラスが反射しやすい

 ・永久修理ではない

良好な着用感

 サブマリーナは、ヘッド(時計本体)とブレスレットの厚さと重さがほぼ同じなので、着用感が良い。反対に、オメガのシーマスターは全体的に170gも重量があるうえ、ヘッドが重過ぎるので、ヘッドに腕が引っ張られる感覚が辛かったが、サブマリーナはそういった不快感は感じない。

金属アレルギーを引き起こしにくい「スーパーステンレス」採用

 ロレックスは、SUS904Lという通常のステンレスよりも耐食性を高めた素材を採用している。その為、完全に錆びない訳ではないが錆びにくく、海水に触れることのあるダイバーズウォッチでも肌に触れる部分では金属アレルギーを起こしにくくなっている。

チープな外装

 時計本体は、リューズを締め忘れても防水性能が働くトリプルロックのクラウンに、簡易アジャスター付きの安定した二重ロック式バックルと、高い機能を備えている一方で、ブレスレットの繋ぎ目がロレックスにしては雑で、ヨレやすく、長期使用すると経年劣化が進みそうな印象を受ける。個人的には、同じく所有しているブルガリの時計の方がピン止めであるものの、ブレスレットの造りはしなやかで、上手である。

 海水の中で使用することも想定されるダイバーズにも関わらず、ブレスレットの繋ぎ目が雑だと錆びが発生しやすくなる。スーパーステンレスとは言え、絶対に錆びない訳ではないので過信は禁物だ。ダイコンが主流の時代でこの時計を水中で使う人が居るかどうかは別として、仮に水中で使用するなら、ベルトは交換した方が良さそうだ。自分がNATOベルトに交換したのはそういう理由もあるのだが、黒サブの顔つきを考えると、ブラックのラバーストラップに交換しても似合いそうだ。

視認性

 太陽光の反射と視認性がダイバーズウォッチの課題になるが、サブマリーナはブライトリングのスーパーオーシャンのようにガラスに無反射コーティングはされておらず、残念ながら反射は防げていない。慣れれば大丈夫だろうが、技術面で数多くの特許を取得しているロレックスにも関わらず、ダイバーズウォッチで反射が起きてしまうのは残念な点である。

デイトかノンデイトか問題。個人的にはノンデイトでも良いと思う。

 クイックチェンジのデイト機能は付いているが、個人的にはノンデイトの方がすっきりとした文字盤で、ノンデイトでも良いような気もする。

 元々、ノンデイトの時計だったので、コネリーボンドの時代を知る筆者からすれば、ノンデイトの方がしっくりくる。日付確認が不要なら、デイトに拘る必要はないと思われる。

「時計の王様」を自称する割に、25年間という短い部品保有期間

 ロレックスは部品保有期間を25年間と定めており、粋ッている王冠を付けて「時計の王様」を自称しているにも関わらず、残念ながら永久修理体制は取っていない。完全自社製造なのだから、修理体制も長くとれるはずなのに、余りにも古いアンティークモデルは普通に修理を断ってしまうのは「時計の王様」を自称するブランドとして、怠慢である。時計は思い出の品になることもある物なのだから、長年愛用している物の修理を断ってしまうのは、時計ブランドとして如何なものだろうか。

 ダイバーズウォッチの場合、高い防水性能を保持する為オーバーホール時に高度な修理が必要となり、それを考えるとデイトジャストのような他の普通の時計よりも修理不可能になる時期を迎えるのは早いと思われる。

 オーバーホール費用は安め(基本43.000円。部品交換があればその部品代も見積もり承認後に別途請求される)で、プレミア化しているスポーツモデルだが、頑張って手に入れることが出来たとしても、孫の代まで相続させられるような家宝級の時計にするのは難しい事は、頭に入れておく必要がある。

総評:自慢できるが、プレミア価格で買う程の時計ではない。今後、同じような品質で正規価格100万円を超えるなら、論外。

 ダイバーズウォッチの役割を変えた歴史があり、極めて高い人気を誇る時計なので、手に入れることができれば自慢はできるだろう。

雲上と比べると劣る外装

 その割に、いざ手に入れてしまうと「なんだ。こんなものか」と思ってしまう程、外装の造りが良くなく、正直、マラソンやプレミア価格で手に入れる程の価値は見いだせない。実際、雲上ブランドと比べると質感の違いが明白だ。

 筆者は「紅・勝ち組クラブ」の外商ルートでサブマリーナを手に入れることが出来たが、この時計を正規店マラソンしたり、プレミア価格で買うのであれば、同じ金額で職人技が光る雲上を買った方が、所有者が高齢になった時に満足できると思う。雲上が渋すぎて自分に合わないという話になれば、失礼だが、高級時計を買うのはまだ身分不相応だという事になる。

ロレックスがプレミア化している背景

 精度が高いとか、資産になるといったメリットは、ロレックスのスポーツモデルなので当然のこと。貴金属も入っていないただのダイバーズウォッチにも関わらず、筆者のモデルの定価は874.800円、最新型は965.800円と価格改定を行い、プレミア化を進みつつあるロレックス。

 ロレックスが高額商品が売れにくいコロナ禍でも容赦なく価格改定をし続ける理由は、どんな事が起きても一定の購入者がいる特別な時計ブランドだから、価格を高額に設定した方が利益が出るからだ。ロレックスは他のブランドと異なり、「アルマゲドンが起こっても購入者が一定以上いる」という異常なブランドなので、敢て供給量を抑えて、需要と供給のバランスに関係なく価格を改定し、プレミア路線を邁進しているブランドだ。だが、世間的な需要を度外視して余りにも異常な価格改定をしまくると「どの顧客層をターゲットにしたブランド」なのかが曖昧になってしまい、更に機械式時計の需要は現在富裕層でもスマートウォッチの人気に移りつつあるので、本来労働者の高級時計としての地位を固めていたロレックスのプレミア路線も、いつまで上手くいくのかは不透明である。

中古でも良いから永久修理を謳うブランドを買おう

 とんねるずの石橋貴明が『メジャーリーグ2』という映画に出演した際に共演者からプレゼントされたサブマリーナは当時約50万円ぐらいの価格だったのに、現在は倍近くまで高騰している。その時に買えた人は運が良い。だが、そこまでの価値があるかと言われると、雲上と比べると、無いというのが正直な感想。もし、今後このモデルが以前のモデルと同じような外装の質感で100万円を超えるなら、筆者は絶対に買わないし、はっきり言ってステンレス製の時計でその値段は愚かだ。同じロレックスなら、まだ50万円~60万円台のオイスターパーペチュアルを買い、余ったお金で旅行に行ったり違う事をした方が有意義だろう。

 中古でも良いからIWCやジャガールクルトやブレゲ、可能なら雲上を買った方が、長く使えるだろう。タダでサブマリーナを貰えるなら未だしも、自腹を切ってまでプレミア価格で買うのはお勧めしない。

さいごに:ロレックスはもっと高いレベルで製造を

 今回は人気モデルを否定的にレビューし、サブマリーナが好きな方は不快に思われた方もいるかもしれないが、厳しい視点で記させて頂いた理由は、ロレックスが「時計の王様」を自称するブランドだからだ。時計の王様を自称するなら、外装の質がセイコーと同じでは駄目であり、製造量を限定する程プレミア路線を進めるのであれば、もっと高いレベルで製造して貰いたい所だ。

 結局、サブマリーナを手に入れた今は、ロイヤルオークとブルガリオクトと共にこの時計をTPOに合わせて使い分けている状況だが、本当は海で使いたい所。だが、現在コロナ禍で海が閉鎖されており、海で使う出番も無し。ホテルのプールやナイトプールも、時計禁止の場所が多く、プールでの出番も無し。まぁ、数年使って飽きたら、筆者が駆け出しの頃から応援してくれている地元が海に近い嫁に日頃の感謝を込めてプレゼントしようかな。

※現行モデルの詳細:https://www.rolex.com/ja

(HIROKI)