【元大学教員が解説】ゼミの成績の付け方を解説します

 大学や大学院のゼミナールにも成績評価がある。ゼミは少数教室で行われる発表や討論メインの授業で、文系大学の多くで必修授業とされている。学生の方の中には皆の前で発表しなければならないゼミが苦手だという方もいらっしゃるだろう。

 筆者は大学時代、ゼミの成績の付け方はどういう仕組みなのか気になった事がある。発表と討論メインの授業で、成績を付けるのは難しいのではないか。そう思い、思い切ってゼミ教員に伺ってみたこともある。だが、後述するが、実際に自分が教員となって今度は評価を付ける側になり、「ああ、そういう事か」と当時のゼミ教員が仰っていた事に対してとても納得してしまった。

 今回の記事では、ゼミ教員はどうやって学生の成績を付けているのかを解説します。

ゼミ教員は「根拠のある発言」を重視している

 筆者が大学在学中、「ゼミは発言が少ない学生は低評価を付けられている」という話を授業の合間に友達から聞いたことがあるが、元大学教員の立場で言うとこれはあながち間違いではない。

 ゼミ教員が学生を評価するポイントは、学生が「根拠のある発言」をしているかどうかだ。例えば、ゼミの討論で反論する時に「確かにあなたの意見もあるでしょう。ですが、実際には○○○○年に○○が起きたという事例もあります」というように、具体的な根拠を示しながら発言できているかどうかを教員はよく見ている。

 教員がそう見る理由は、根拠のある発言は説得力もあるし、根拠を明示できるという事でその学生がそれだけ勉強しているという事が分かるからだ。2ch元管理人ひろゆきのように、ゼミには上手い切り返しができる優秀な学生もいるが、それは具体的な根拠が明示できている証拠。逆に根拠に乏しい発言は、アメリカのトランプ前大統領が証拠が無いのに大統領選は不正選挙だったと今でも繰り返しているように、説得力が無い発言と見なされてしまう。

ゼミで好成績を取りたいなら「根拠のある発言」を沢山しよう

 なので、ゼミで好成績を取りたければ根拠のある発言を沢山した方がいい。

 では、根拠のある発言ができるようになるためにはどうすればいいか。一つは本を沢山読んで知識量を増やすこと。本と言っても、学者が書いた本の事だ。一冊の本には様々な人間が関わって出版がされている。本は知識の宝庫と言って良い。本を読みまくって沢山知識を身につける事で、様々な話題に乗ることができ、討論で発言もしやすくなる。

※本の選び方を解説した記事を投稿しました:【元大学教員が伝授】本屋に行くのが楽しくなる!書店で本の内容を即理解する方法【参考文献の楽な選び方】

 それと、もう一つは新聞を読むこと。大学の図書館には各社が発行している新聞が置いてある。新聞は20面近くあり、中には自分の興味の無い分野の記事もあるが、そうした分野も客観的な視点で分かりやすく記載されているため、興味の無い分野を理解することができる。また、新聞の記事はパラグラフライティングで書かれているため、新聞を読むことはレポートや論文を書くための練習にも繋がる。知識をゲットできる上に論文の書き方を学べるので、新聞を読むことは一石二鳥だ。ただ、社説に関してはその新聞社の主観が入っているため、無理して読む必要はない。

 ゼミで発言できないのは、勉強していない自分に自信が無いから。沢山本や新聞を読んで勉強していれば、ゼミで自信を持って発言できるはず。

 もう少し筆者なりのアドバイスを追記しておくと、ゼミの討論では発表者の発表内容のテーマが予め伝えられるのだが、そのテーマに沿った内容(ニュース記事など)を予めスマホで調べておこう。そうすることで、発表者のテーマの話題に乗りやすくなり、ゼミで発言がしやすくなる。しかも、具体的なデータを調べた上で発言ができるので、発言に根拠が付いてきて説得力のある発言になりやすくなる。根拠のある発言を沢山行い、ゼミ教員に「この学生できるな」と評価してもらおう。

ゼミ教員にも「良い教員」と「悪い教員」がいる

 筆者が大学在学中に、授業をよくサボってどっかで遊んでいた友達が「俺○○(ゼミ教員)と授業前にトラブってゼミの単位落とした」と言われ、その人の再履修のために授業ノートを貸したことがある。

 反対に同じゼミを無事修了した私は、大学時代のゼミ教員から大学院進学を勧められた時、「ゼミ教員でも良い教員と悪い教員がいるから、大学院に行くつもりなら良い教員を見つけなさい」と担当教員から忠告を受けたことがある。その時思ったのは、仮にゼミは担当教員によって成績が変わるのであれば、大学院に進学した場合自分に合う教員と進学前に交友を深める必要があるということだった。だが、その時はまだ大学生で大学教員ではなかったためゼミナールの実情が分からなかったが、大学教員になってみてゼミの実情が面白い程によく分かってしまい、短い期間ながら良い経験ができたと思う。

 実は、ゼミ教員の中でも客観的な評価ができない悪い教員がいる。「コイツ気に入らない」という主観的な理由で低い評価を付けたり、ゼミの評価というよりはそのいい加減な悪い教員の個人的な評価になってしまっているゼミも実際にある。すなわち、ぶっちゃけてしまうとゼミでは担当教員とのトラブルや不仲が原因で低評価を付けられる事も実際ある。だが、やはりそのようないい加減な担当教員がいるゼミは、就職活動や大学院進学に影響を及ぼすので、選ばない方がいい。

大学4年間で「良い教員」は誰なのかを見極めよう

 大学4年間で沢山の授業を受けることができるが、授業を色々受けていると、自ずと「良い教員」と「悪い教員」が見極められるはず。サークルの先輩から情報収集する方法も悪くないが、サークルの先輩の話は基本的に信憑性が低い噂話が多い(筆者の個人的見解)ので、本来なら自分で授業を沢山受けて、自分の力で「良い教員」を見つけたほうがいいと思う。

 その指標の一つとしては、ゼミは本やテキストを書いた経験がある教員を選ぶようにしよう。本やテキストは出版に際し、編集者や資料提供者など様々な人たちが関与しているものなので、1冊の本やテキストを仕上げたことがある教員はそれだけ高い能力があるということになるからだ。また、教員の中には内気で暗い人もいるが、それに対し本やテキストを書いたことがある教員は出版の際に培った幅広い人脈を持っている人が多いので、就活の際にその幅広い人脈を利用して有利に就活を進められる可能性もある。

 特に大学院進学希望者は、進学前に自分の研究を見てくれる担当教員を指名するのだが、担当教員によっては大学院卒業後の進路に大きく影響を及ぼすので、4年の間に「良い教員」を見つけて、その教員と仲良くなれるようにゼミや交流会(教員と学生の交流会)に積極的に参加した方がいい。

最後に筆者が「とても納得した」話

 この記事ではゼミの評価の仕組みを伝えてきたが、ここまでの話は「成績を付けられる学生」から見た視点での話。

 今度は逆に「成績を付ける側」になった身からすると、ゼミで評価を付けるという行為は担当教員である自分の評価を付ける事にも繋がっていると思った。だから、学生をよく見れる教員は「良い教員」として自分自身も評価を付けられるし、その逆は然り。客員教員であった自分が「良い教員」でありたいなら、まず自分が学生をよく見て、自分を研鑽することが大事だと感じた。

 学生に教えることが、自分を研鑽することに直結する。大学教員の仕事はそういう意味でとてもやりがいがある仕事だなと思った。筆者は教員経験で大学時代のゼミ教員からの忠告を思い出し、当時の教員の忠告に納得してしまった。

(HIROKI)