【元大学教員が伝授】本屋に行くのが楽しくなる!書店で本の内容を即理解する方法【参考文献の楽な選び方】

 筆者はこのサイトでよく「大学時代に本をたくさん読んでください」と何度も書いているが、過去に学生の方から「参考文献を決める際にどうやって本を選べばいいか分からない」という疑問を伺ったことがある。

 今回の記事では書店の立ち読みで本の内容を即理解できる方法を教えます。

 今回紹介する方法は、筆者も文献リサーチの際に実際に書店で使っている方法です。課題に期限がある学生にとって、手っ取り早く参考文献を見つけられるこの方法は使えると思います。

 学生に限らず、読書が好きな人も書店で本選びに活用できる方法でもあるので、是非参考にしていただければ幸いです。

まず、本のタイトルを確認する

 今回の解説記事は、書店で参考文献を探している学生を「貧困問題を研究テーマにしている学生」という設定で、本は湯浅誠氏の著書『反貧困-「すべり台社会」からの脱出』(岩波新書)という新書を例に挙げながら紹介します。

※ポストイットは筆者が学生時代に読んだ際に付けたものです。

 書店では新しく出版された本を除き、背を向けた状態で沢山の本が並んでいる。まずは沢山並んでいる本の背に書いてあるタイトルから、自分が研究したいテーマと合うタイトル(今回の例では「貧困問題」)を見つけ、手に取ってみる。

※書店では背を向けて本が並んでいるが、まずはタイトルを見る

 この本の主題は「反貧困」で、副題は「すべり台社会」だ。

 多くの人は主題よりも副題の方に興味を持つだろう。このタイトルを一見すると、「貧困問題に関する本ということは主題から分かるけど、副題の「すべり台社会」って何だろう?」と、「すべり台社会」というワードについて興味を感じる人が多いだろう。その副題についての興味関心はここでは後回しにしておいて、次に著者のプロフィールが書いてある部分をめくってみる。

本を開いたらまず確認する項目は「著者のプロフィール(経歴)」

※読み過ぎて破れたページがあったので買い直しています。

 著者のプロフィールは大概の本では巻末に書いてある(集英社新書など一部の本では裏表紙にある)。

 参考文献選びで一番重要なのは、このプロフィール。プロフィールで見るべきポイントは、「本の内容とプロフィールが一致しているかどうか」だ。

 この本の場合、湯浅誠氏は「貧困問題に関係する人物」だということが分かる(余談だが、湯浅氏は年越し派遣村の村長やこども食堂を発足させた貧困問題に取り組む第一人者である)。そう理解できると、貧困問題という点で著者の経歴と本の内容が一致し、貧困問題を研究テーマにする学生と本の内容がマッチするので、とりあえずこの本をキープする。

 逆に、このプロフィールが本の内容と関係ない内容であれば本を本棚に戻そう。本のテーマにそぐわない人物が書いた本は、たとえその本が学生の研究テーマに合う本のタイトルだったとしても、その本を書いた人が興味本位で書いた可能性があるため、参考文献としては弱くなるからだ。

出版年も確認する

 参考文献を探している学生の場合は出版年も要チェック。出版年は巻末に書いてある。出版年が余りにも古すぎると、制度や法律が変化している可能性があるので、担当教員から参考文献としてNGを出され認められないことがある。

 なお余談だが、巻末に書いてある「第〇刷」とは印刷回数のことで、回数が多いとその本は人気がある本だということになる。

次は本の冒頭にある「目次」を読む

 本の冒頭にある「目次」は本の内容を要約したものなので、目次を全て読むことでその本の内容を即座に理解することができる。

 著者のプロフィールを確認したら、すぐに「目次」を開く。本の最初にある「まえがき」や「はじめに」を読むのは購入後で良い。

 目次でまず着目するのは「大見出し」だ。今回例に挙げた本では、「第Ⅰ部」と「第Ⅱ部」の二部構成になっていることが分かる。第Ⅰ部の見出しは「貧困問題の現場から」で、第Ⅱ部は「「反貧困」の現場から」とある。

 つまり、この本は前半は貧困問題の実際の現状が書いてあり後半は貧困対策について書いてある内容だということが分かる。この時点で、貧困問題という自分の研究テーマに完全にマッチする本だと理解できるため、この本は参考文献として相応しいということが分かる。

 この時点で本の内容に納得できれば、レジに行って購入しよう。

類似した本がある場合、どの本を選ぶべきか

 似たような本が数冊あり、どれを参考文献にすれば良いか悩む人もいるだろう。いっそ全て読む方法もあるが、課題には期限があるので、なるべくなら効率良く参考文献を見つけたいところ。

 そんな時に判断材料になるのが2つある。1つは目次にある小見出しを確認することで、もう1つは新しい出版年の本を選ぶことだ。

 小見出しを読めば、詳しく書いてある本とそうでない本を見分けることができる。小見出しを読むことで、一層理解に繋がる。小見出しを確認する際、難解なワードが出てきても無視して構わない。理解できないワードは購入後に読んで理解すれば良いので。小見出しと本の内容の関係については次の項目で詳しく解説。

 出版年は新しい方を選ぼう。当然ながら、新しい本の方が社会情勢や法律がアップデートされているので、参考文献として強くなるからだ。

本の「副題」についても考えてみよう

 小見出しを全て読めば本の内容を大まかに理解できるのだが、副題がある場合は副題から本の内容をすぐに理解する方法もある。

 更にこの本の内容を突き詰めていこう。

 この本の場合、「すべり台社会」というワードに着目。先ほどの目次をもう一度読むと、第二章の見出しで「すべり台社会」というワードが出てくるのが分かる。第二章の見出しに付いている小見出しを詳しく読んでみると、「セーフティネット」というワードが多いことが分かる。この時点で、「第二章ではセーフティネットについて書いてあるんだな」ということが分かるので、日本のセーフティネットの脆弱性とすべり台社会が関係しているという内容が理解できる。

 

 次に、第Ⅱ部の第四章にも「すべり台社会」のワードが出てくる。第四章の大見出しは「「すべり台社会」に歯止めを」と書かれており、第四章は「すべり台社会」に対する対策を考える章であることが分かる。続けて、その小見出しを読んでみると、「セーフティネットの「修繕屋」になる」という小見出しがある。つまり、第二章ではセーフティネットの脆弱性を伝える内容だったのに対し、反対に第四章は脆弱なセーフティネットを立て直すために何が必要とされるのかを伝える内容だということが理解できる。

 

 ここまでの分析をまとめると、この本は「日本は誰でもすべり台のように転落するかもしれないセーフティネットが脆弱な社会である。そんな社会において貧困問題にどのように取り組めば良いのかを考える」内容だと要約して理解することができる。本を読む前の段階で、本の内容を大まかに理解できてしまった。

 小見出しを読んだ段階で理解できなかった内容は、実際に本を読むことで補っていく。

 今回紹介した方法は日本人が英文を読む際に学習塾などで教えられる「パラグラフリーディング」と似ているのだが、日本文でも手っ取り早く文章を解釈するために活用できる方法だ。

 特に副題がある場合は、副題を突き詰めるだけでも本の内容をより一層理解できる。この記事の最初に「副題の「すべり台社会」というワードに関心を持っても後回しにしよう」と書いたが、本の目次を読む時は本の副題についても考えながら読んでみると、その本の内容をより一層理解することができる。

(HIROKI)